俺はレッド・ダイアモンド

●最近、集中力が無くて、込み入った話の小説がなかなか読めない。
前に読んで面白かったもの、ストーリーや登場人物をある程度覚えている小説を良く読み返している。あまり集中力が無くても、話に入り込みやすい。また思わぬ発見もあったりする。例えばジェフリー・ディーバーのリンカーン・ライムシリーズ、3作目まで夢中で読んだが、読み返すと、ここんとこちょっと無理有るよな〜。などと、あらが見えたりして面白い。もちろん小さなあらが見つかったって、別に小説の質が落ちる訳でわでは無いが。
え〜、ここから本題
●というわけで今日読んだのも新刊でなくて20年くらい前に買った早川ミステリ文庫。
もう何回か読んだけど、読み返すとやっぱり面白い。
『俺はレッド・ダイアモンド』 Red Diamond (1983)
マーク・ショア著、木村二郎訳
k070924a.jpg
●ハードボイルド小説へのオマージュというかパロディというべきか、
とにかくハードボイルド好きにはたまらない小説。
●主人公は、中年のタクシー運転手サイモン。パルプ雑誌(犯罪小説、探偵小説…)の蒐集が唯一の趣味だ。無理解の妻にそれらを売り払われ、ショックでハードボイルド小説と本当の自分が区別つかなくなり、小説中のタフガイなヒーローになりきって、活躍する。…というとんでもない話。
●もちろんストーリーも面白いのだが、正調ハードボイルドの文体がたまらない。例えば金持ちの依頼人のばかでかい家に入って
「…これよりも小さいフットボール場を見たことがある。それに、これほどたくさんのドアもなかったな」
はたまた
「約束より30分早いぞ」
「おれの街じゃ、それは犯罪じゃない」

とにかく、こんな調子でハードボイルド独特の会話や比喩が使われ、それだけでも楽しく読める。訳もハードボイルド小説フリークというか、オーソリティの木村二郎、文句無しだ。
●ここまで書いて恐縮だが、この文庫今は入手出来ないかも(←じゃあ紹介すんなよ)。でもハードボイルドファンの方、古本屋で探しても読む価値ありです。
続刊も出てて、これも読んだ記憶があるけど、台湾に持って来なかった。紛失したのだろう。う〜ん。惜しまれるが、1冊目が一番強烈に面白いと思うので、これだけでも是非探して読んでください。
続刊
『エースのダイアモンド』 Ace of Diamond (1984)
『ダイアモンド・ロック』 Diamond Rock (1985)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。