「フクロウの叫び」と「シベールの日曜日」

パトリシア・ハイスミスの小説「フクロウの叫び」が好きで、3〜4回読んだと思います。つい主人公と自分をシンクロさせて読んでしまうのです。ただし前半だけです。ハイスミスってよほどのひねくれ者のようです。後半にささやかなサスペンスを挿入して、ハッピーエンドにしてくれれば、何度でも読み返せたのに、と思います。映画化されたのも知っていますが、好きな小説なのでイメージが壊されるのがいやなのと、アンハッピーエンドの映画は、つらいので観ませんでした。

ーーーーーーーー<以下前半のみ、ネタバレ有り>ーーーーーーーー
精神的に疲弊しきった30代の男性(だったと思う)主人公、ロバートにとって、全くの他人、偶然見かけた幸せそうに生活する、ジェニファーの姿をこっそり眺めるのが、ただひとつの心の安らぎだった。ロバートがいつものように幸せそうに料理をするジェニファーに見つかってしまい、それをきっかけにいつしか二人は友人になる。ジェニファーそしてはロバートを恋するようになる。(ここだけ聞くとヘンだがこの小説の一番の面白さはここだ。)ロバートはジェニファーを心から愛したいが、それよりも以前の結婚の失敗の痛手から、愛とは、結婚、誠実とはそんな簡単でない事を知っている。そして….

ーーーーーーーー<ここまで>ーーーーーーーーーーーーーーーー

と、そんなストーカーと言う言葉が流行する前の物語です。あっ、この人ヘンだけど、オレかな。ひょっとしたら、オレってこんなこと、するかも……。精神的に弱っている時は、とにかく自分に優しくしてくれる人が好きです。そんな人が近くにいないなら、せめて自分に似たところのある、主人公が出て来て「そうだよ、お前の生き方は間違ってないよ」っていってくれる小説や、映画に飢えています。映画ですぐに思い浮かべるのは「シベールの日曜日」。この映画もも好きで2〜3度観たと思います。あ〜記憶喪失になりたい。この主人公もオレだよオレ、って思った人は多いはず。あまりに繊細なこの映画、どうなんでしょう、今は、やはりつらいかもしれません。クシシュトフ・キェシロフスキ監督の「ふたりのベロニカ」「デカローグ」どれもちょっと暗いかな。

どなたか、あっ、これはまさに自分だな。そんで優しくて自分をなぐさめてくれる。そしてあなたは間違っていないというような都合の良い映画や小説があれば紹介して下さい。
村上春樹作品は15年位前まですきでしたが、今は嫌いです。村上チルドレンたちはもっとダメです。って言いたい放題ごめんなさい。

「フクロウの叫び」と「シベールの日曜日」」への4件のフィードバック

  1. 三宅社長さん
    「優しくて慰めになる」映画、ちょっと難しくって考えこんじゃいました。
    う~ん、ちょっと慰めになるかどうか自信がありませんが、
    私が色んなことに辟易して、自分の限界も感じ始めた頃に見て、
    「諦めも美しいではないの」と思った映画が「永遠のマリアカラス」でした。
    ベタでごめんなさい。
    だいたい「諦めが美しい」のでは、全然「慰め」にはならないですよね…
    でも男女の友情も本当にあって、仕事のパートナーとしても、友人としても、
    相手を思いやって、心配して、って気持ちはとても感じました。
    マリアカラス役がファニー・アルダンなので、マリアカラスにしては上品過ぎますが。
    でもきっと三宅社長さんは既にご存知の映画ですよね、う~ん難しい。
    あ、気持ちが沈む時には、明るく楽しい映画って余計嫌になります、私。
    なので三宅社長さんも、どっぷりと暗い映画や本の中に浸かるのも、これまた良いのではないでしょうか。

    ところでフクロウって叫ぶのかな、ホ~っ、ホ~っのイメージが優雅で、
    叫ぶイメージがちょいと難しいです。
    映画化された時の俳優さんは、どなただったのでしょうか?

  2. サトコさんへ
    ありがとうございます「永遠のマリアカラス」、全然知りません、ロマン派以降の音楽にはまるで無知なんです。
    マリアカラスは、カルメンのレコード(当時)は良く一緒に聴いてました。
    観てみます。

  3. 三宅社長さん
    あら良かった、まだご覧になっていなかったのですね。
    いわゆる「伝記もの」では無いので見やすいです。
    オペラの話題(プッチーニ)がたくさん出てきますが、それよりも人間関係の方がメインなような…
    蝶々婦人なんて、東洋人蔑視のイメージだったのですが、マリアカラスが歌うと随分…
    是非、お時間のある時に…!

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