この時計は、入院中の父が、腕時計が欲しいと電話で言って来たので、
この1月に、台北の街を歩きまわってさがして買ったもです。
なにしろ私が日本へ帰る前日のことだったので焦りました。
父の出した条件は、寝たまま腕にしていても邪魔にならないくらい薄くて、
しかも文字盤が大きくてはっきりしているもの。
はじめは、台北のデパートでさがしたのですが、分厚くて豪華なものが多く、
条件に当てはまるものがありません。
その後、忠孝東路の地下街をうろうろしていたら、CASIOの店があり、
そこでぴったりのものを見つけました。1,500円くらいでした。
買った次の日に日本へ帰って、寝ている父に見せると、ああ、いいね、
と言って、すぐに腕につけるよう私に言い、そして、私は正直に1,500円
くらいだったよと告げると、安いねぇ、と言いながら笑っていました。
それから3月の末まで、父はずっとこの時計をしていたのですが、
最後は腕が上がらなくなったのか、枕元のよく見えるところに掛けて、
そのまま亡くなりました。
これが、父への最後のプレゼントとなりました。
台北に持って帰って、今は、私の机の上に置いています。
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